子供の口の中を見るときは、どのようなことに注意したらよいですか

上皮真珠(じょうひしんじゅ)

生まれて間もない赤ちゃんの歯肉(歯ぐき)に、直径mm~数mmの白い小さな球状のかたまりが1個~数個かたまって見られることがあります。
見ためが真珠に似ているところから、上皮真珠と呼ばれていますが決して固いものではなく、中身は白いクリーム状のものです。
これは、発生の途中で歯を形成する組織が、歯を形成した後も吸収されずに残り、変化したものと考えられています。そのまま様子を見ていれば、自然に消滅しますので治療の必要はありません。
その後の乳歯の萌出にも何ら影響はありません。

上皮真珠(じょうひしんじゅ)

先天性歯(せんてんせいし)

赤ちゃんの歯は、一般的には、生後4~6カ月頃に下の前歯(乳中切歯)から生えてきますが、たまには生まれたとき既に歯が生えていたり、新生児(生後1カ月以内)と呼ばれる時期に歯が生えてくる事があります。これを先天性歯と呼びます。
先天性歯は通常より早く生えてくるため、歯の形成が未熟で、歯根もほとんどできていないためグラグラしています。
授乳時に、母親の乳首を噛んで痛みがひどく我慢できないとか、動揺が激しく抜けて飲み込む危険がある場合などは抜歯しますが、特に問題がなければ、そのまま様子を見ます。

先天性歯(せんてんせいし)

舌の潰瘍(かいよう)

赤ちゃんがおっぱいを吸うときに先天性歯(ほとんどは下の乳中切歯)があると、おっぱいを吸うたびに歯のとがった部分で舌の裏側がこすられて潰瘍ができます。このことが原因で赤ちゃんの機嫌が悪くなったり、乳を飲まなくなったりします。
治療法としては、歯のとがった部分を丸く削ったり、歯を埋める材料で表面を覆って丸くしてやるとよいでしょう。やむを得ない場合は抜歯することもあります。

舌の潰瘍(かいよう)

舌苔(ぜったい)(舌にできる白い苔のようなもの)

舌の表面は、細かい乳頭でおおわれていて、少しザラザラしています。高熱を伴う病気にかかると、白い苔のようなものが舌の表面をおおうことがあります。これは口の中が乾燥して不潔になったため、乳頭が厚くなりその間に食べかすが溜まってできたものです。
治療法は、原因となっている病気の治療とともに、口の中を清潔に保つようにします。

萌出嚢胞(ほうしゅつのうほう)

歯が生えるころに、歯ぐきの歯の生える部分に、青又は紫色の柔らかい膨らみができることがあります。これは、歯を包んでいる袋と歯の間に液が溜まってできたものです。
歯が生えてしまうと自然に治りますので、特に治療の必要はありません。

萌出性歯肉炎(ほうしゅつせいしにくえん)

歯が生えるときは、歯は歯肉から少しずつ頭を出してきますので、歯をおおっている歯肉と歯との間にはすきまができます。このすきまに食べかすなどが入り不潔になり、炎症を起こして赤く腫れたりすることがあります。
これを萌出性歯肉炎といって、腫れがひどい時は抗生物質を飲ませたりしますが、通常は口の中を清潔にして様子を見ます。

口腔カンジダ症(こうくうしょうかんじだしょう)

口の中にはお腹の中と同様いろいろな細菌がいますが、通常は何も病気を起こしません。口腔カンジダ症は、そのうちのカンジダ・アルビカンスという真菌により引き起こされる粘膜の病気です。
生まれて間もない赤ちゃんに見られることが多く、口唇や頬の粘膜、舌、歯肉などに、白くて柔らかいミルクかすのような苔(こけ)ようのものが付くことがあります。ミルクかすと間違えてこすり取ると、粘膜表面がはがれて赤くなります。診断は顕微鏡下で菌を確認します。
治療は、カンジダに有効な薬を塗ったり、口に含ませたりします。

エプーリス

エプーリスとは、歯肉にできる円形あるいは球状の良性の腫瘍で、まれに先天性エプーリスといって、生まれたときにできているものや、小さな子どもにできることがあります。色は、まわりの歯肉と同じであったり、少し赤みを帯びていることがあります。
治療は、手術により取り除きます。

上唇小帯の異常(じょうしんしょうたいのいじょう)

上唇小帯とは、上唇を引きあげた時に、唇の裏側と前歯の歯肉との間に付いている、粘膜のひだのような部分をいいます。生まれたての赤ちゃんでは、比較的太く厚いものです。
前歯の乳歯の生えてくる部位の極く近くに付いていますが、発育するにつれて次第に細く、また薄くなり、付着する位置も序々に歯から離れていきます。これは、歯槽骨という歯を支えている顎の骨が成長するためです。
前歯が乳歯から永久歯に生え変わる時期(6歳ぐらい)になっても、中切歯の間から裏側まで延びている場合には、手術をすることがあります。
いずれにしても、赤ちゃんの間は様子を見ることになりますが、乳中切歯が上唇におおわれて磨きにくいので、ブラッシングは注意して、ていねいにしてあげて下さい。

上唇小帯の異常(じょうしんしょうたいのいじょう)

口唇裂・口蓋裂(こうしんれつ・こうがいれつ)

口唇裂とは、上口唇に裂(切れめ)ができた状態で生まれてくる病気です。
口蓋裂とは、口腔と鼻腔を隔てている口蓋(口の中の天井に相当する部分)に裂ができた状態で生まれてくる病気です。
母親の胎内で、赤ちゃんの顔の部分は、左右の顔面突起、口蓋突起とよばれる突起が組み合わさり、くっつきあって出来上がっていきます。これらは、妊娠初期(3~5ヶ月)におこなわれますので、この間の過程に何らかの異常が起きると、本来組み合わさるべき部分がうまくくっつかなくなり、その結果、裂が残ってしまいます。

口唇裂・口蓋裂の赤ちゃんが産まれる割合は、人種によってかなりの差があり白人では700 人~800 人に1人、黒人では1500人~2000人に1人の割合であるのに対して、黄色人種である日本人の場合は400 人~500 人に1人の割合で誕生しているといわれています。

明らかな原因は現在のところまだわかっていませんが、一般的には、遺伝的要因と環境的要因とが相互に作用して引き起こされると考えられています。環境的要因としては、両親の年齢、母体の病気や栄養状態、X線、薬剤やアルコール、タバコなどがあげられます。
この病気による影響は、審美上の問題だけでなく、栄養の摂取、呼吸、発音等人が生活していく上で非常に重要な機能に早期より影響を及ぼすことになります。また口唇裂・口蓋裂の赤ちゃんには、心臓の異常、耳や手足の形の異常など、体の他の部分に合併した病気が見つかることも多いようですので、細部にわたる全身的な検査を受けておくことが大切です。

治療としては、生まれつき離れて開いてしまっている裂の部分を閉じ合わせて通常の形に戻し、正常な機能を回復できるようにします。これにはどうしても外科的手術が必要になってきます。手術は、症状の程度により、赤ちゃんの成長に合わせて何回かに分けて行われます。

いずれにしても、早めに専門の医療機関(もよりの歯科医院でご紹介します)を受診されることをお勧めします。

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