学齢期に起こりやすいお口の中の病気

学齢期は、乳歯と永久歯が混在している状態で混合歯列期と呼ばれます。乳歯から永久歯への交換は6歳頃から始まり、最終的には、成人前後に生えてくる第三大臼歯(親知らず、智歯)を含め、左右16本、上下顎合わせて32本の永久歯が生えてきます。

混合歯列期のむし歯

この頃の永久歯は生えて間もないので「幼若永久歯」と呼ばれます。

特徴
成人の歯と比べると柔らかく、酸に対する抵抗性が低い。歯根も未完成で、一度むし歯になると刺激が歯髄に伝わり易く、進行が速いので、生えてまもなくむし歯にかかる傾向があります。
予防
基本はブラッシング。むし歯になり易い歯の溝を予防的に埋めたり(フィッシャーシーラント)、フッ化物を応用したり、規則正しい食生活を行います。
また、歯石等のブラッシングでは取れない沈着物は自己流では限界がありますのでかかりつけ歯科医院で専門的に取り除く処置を行い、プラークコントロールに努めることが大切となります。

混合歯列期の歯肉炎・歯周炎

歯肉にだけ炎症が見られるものを「歯肉炎」といい、学齢期に多く見られます。原因は歯垢(プラーク)です。健康な歯肉はピンク色をしていて引き締まっていますが、歯肉炎になると赤く腫れてきて、ぶよぶよしてきます。また、歯茎から血が出やすくなってきます。こうした歯磨きの不良による一般的な歯肉炎は不潔性歯肉炎と呼ばれますが、他にも次のようなものがあります。

萌出性歯肉炎
歯が生えるとき一時的に見られる歯肉炎で、萌出中の歯の周囲の歯肉が赤い線状をしてきます。自覚症状はほとんどなく歯の萌出が進むと自然になくなります。
思春期性歯肉炎
小学生高学年、中学生に見られ、ホルモンの変化が関係していると言われ、清潔な状態でも起こります。
若年性歯周炎
頻度は少ないのですが13歳~15歳頃に発生し、前歯と第1大臼歯周辺の歯槽骨の著しい破壊が特徴です。

歯並び・噛み合わせ

混合歯列期は永久歯が生えてくる時期であり、歯ならび、矯正治療の問題など歯の一生にとって、重要な時期です。

叢生(らんぐい歯)

歯並びの異常で一番多く、歯並びがでこぼこした状態です。顎の大きさに比べて歯の幅の総和が大きな状態です。特に犬歯が歯列からははみ出している八重歯は、乳臼歯のむし歯、早期の喪失などが主な原因として考えられますが、歯列弓の形態が狭窄した形態をとることも原因の一つです。

叢生(らんぐい歯)

空隙歯列弓

叢生とは逆に、すき間だらけの状態。通常の乳歯によく見られる生理的な場合と、すき間が大きい歯列異常と考える場合があります。

上顎前突

下あごに対して、上のあごや歯が突出した状態で、歯だけが出ている場合と、あごも一緒に出ている場合とがあります。

下顎前突(反対咬合)

下の前歯が上の前歯よりまえに出た状態を言います。上下の前歯の先端がちょうど合った状態(切端咬合)も反対咬合の一種です。反対咬合は骨格的に問題がある場合が多く、下あごは身長の伸びとほぼ同じ時期に大きくなるので、思春期成長とともに反対咬合の程度がひどくなることが多いようです。

上下顎前突

歯ならびが良くてきれいに噛んでいても、上下の歯列が前に出てしまっていて、リラックスした状態で口を閉じることが出きません。

過蓋咬合

前歯の噛み合わせが噛みこみすぎている状態のことを言います。

開咬

奥歯の数本だけが噛んで前歯が噛めない状態のことを言います。

交差咬合

下あごが左右どちらかにずれて噛んでいる場合を言い、臼歯の萌出方向が正しくないためや、片側噛み、頬杖などの不良習癖によって起こります。

歯並びが悪いと、歯ブラシが細かいところまで届きにくくむし歯や歯肉炎・歯周病の原因にもなります。さらに物を噛む咀嚼効率が低下し、消化器系全体の負担が増します。もちろん、顎の骨、筋肉の発達も阻害され、成長発育に影響を及ぼします。
また、反対咬合や開咬の場合、サ行やタ行などの発音がしにくくなります。しっかりした噛み合わせが脳に良い刺激を与えることなど咬合と全身との関係が最近よく言われていますし、歯ならびの悪さが劣等感など心理的に影響することは明らかです。

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